Adventurer3 Pro[5] 3Dビルドシート事情と接着力の悩み
3Dプリンターで造形する際には、ビルドシート(またはプラットフォームシート)が必須です。
このビルドシート、実は意外と曲者です。
Adventurer 3 Pro と Adventurer 4 の違い
私が自宅で使っている Adventurer 3 Pro にはガラスビルドプレートが付属しています。
これがなかなか優秀で、割らない限り半永久的に使えるのが魅力です。剥がれなくなることもありません。ただし、滑りやすく造形が失敗する確率は高い。そんなときは下記書くように接着力を高めます。
一方、職場で使っている Adventurer 4 のプラットフォームは、鋼板に PEI(PolyEtherImide/ポリエーテルイミド) を貼り付けたタイプ。
PEIは接着力が非常に強く、造形物を剥がすのが大変です。無理に剥がすとシートが破れてしまい、交換が必要になります。しかもこの純正プラットフォーム、値段が高いので気軽に買い替えられません。そんなときは逆に接着力を下げます。
ビルドシートに求められる“矛盾”
ビルドシートは、印刷中は造形物がずれないようしっかり固定する必要がありますが、造形が終わったら簡単に剥がれてほしい…という、ある意味矛盾した条件を求められます。
このバランスが取れていないと、トラブルの元になります。
コストを抑える工夫
Adventurer 4 の純正プラットフォームを毎回買うのはお金がいくらあっても足りません。
そこで私は、純正シートを剥がしてAmazonなどで買える安価なPEIシート(1枚700円ほど)を貼る方法を採用しています。
それでも毎回交換するのは避けたいので、FlashPrintの設定を見直して接着力を適正化しました。
接着力調整のポイント
- ガラスプレート:接着力が弱いため、高めの設定に
- PEIプレート:接着力が強すぎるため、低めの設定に
素材によっても違いがあります。
- PLA:概ね標準設定でOK
- ABS:接着力が弱い
- PLAカーボン:接着力が強い
基本調整項目
接着力は以下の調整でコントロールできます。
- プラットフォーム温度(上げると強まる)
- 第一層の押し出し率(増やすと強まる)
- 第一層の速度(遅くすると強まる)
- 第一層の線幅(太くすると強まる)
- ファン設定(止めると強まる)
二層目以降は多少ラフでも問題ありません。
スティックのりの活用
私の必須アイテムは スティックのり です。
造形時には接着力を高め、剥がすときにはスムーズに外しやすくしてくれます。
運用のコツ
- 第一層が終わるまでは必ず目視で確認(失敗率が高い)
- その後は放置でもOK
- 剥がれないときは水に浸けて放置
少なくとも完全に冷めるまでは無理に剥がさない
こうして素材や条件に合わせて調整すれば、ビルドシートの寿命も延び、コストも抑えられます。
3Dプリンターの安定稼働には、造形条件の最適化とビルドシートのメンテナンスが欠かせません。