鉄道とサイバーセキュリティー [4] 鉄道分野におけるサイバー攻撃事例

1. 🇺🇦 ウクライナ国鉄へのサイバー攻撃(2025年3月)

  • 影響:オンラインチケットシステムがダウン → 駅・車内での発券に急遽切り替え。システム復旧まで数日。
  • 影響範囲:全国レベルで数千人の乗客に影響。
  • 列車制御:直接影響なし(ただしITインフラ停止による混乱)
  • 注目点:ウクライナ情勢下での国家レベルの攻撃と推定され、標的型APT攻撃の可能性。

出典:ReutersThe Record


2. 🇺🇸 米国:信号制御システムへの侵入(2012年)

  • 影響:システムへの不正侵入により、信号表示が誤作動、一部列車が遅延(最大15分程度)。
  • 影響範囲:米国北西部の鉄道会社。
  • 列車制御直接影響あり(信号に基づく自動制御に干渉)
  • 注目点:サイバーによる物理世界への干渉の明確事例。報道後、国土安全保障省も調査。

出典:Wired


3. 🇬🇧 英国駅Wi‑Fiのハイジャック(2023年)

  • 影響:ロンドン、バーミンガム、マンチェスターなどで提供されていた駅Wi-Fiのログイン画面がヘイトスピーチに乗っ取り表示
  • 影響範囲:多数の利用者が不快表示を目撃。鉄道運営者の信用問題へ波及。
  • 列車制御:影響なし(ITサービスの表層部のみ)
  • 注目点:社会的影響は強いが、制御システムには無関係

出典:AP News


4. 🇬🇧 スコットランド〜ロンドン:インフラ系データへの不正アクセス事案(時期不明)

  • 影響:列車制御には影響なし。スタッフ情報や旅客インフラの一部にアクセスされた可能性あり。
  • 影響範囲:内部告発により事後報告。具体的被害は不明だが、セキュリティガバナンスの課題露呈
  • 注目点:デジタル化進展に伴い、OTとIT境界の管理が甘い点を突かれた。

出典:The Scottish Sun

事象種別列車制御への影響社会的影響分類
ウクライナ国鉄攻撃ITシステム停止×◎(チケット業務全面停止)国家APT型
米国信号侵入OTシステム干渉○(遅延)制御系侵害
英国Wi‑Fi乗っ取りIT UI侵害×○(信頼失墜)情報改ざん
スコットランド情報流出ITアクセス漏洩×△(非公表被害)標的型侵入