CBTC[1] CBTC

Communication based Train Control は地上ー車上間に無線を用いた車上位置認識型の列車制御システムです。地上ー車上間を無線で通信する列車制御システムは世界にいくつかあります。日本では東日本旅客鉄道株式会社が開発し、仙台の仙石線と東京圏の埼京線に導入しているATACS, EUで開発されたETCSレベル3が日本では有名です。ETCSレベル3はまだ営業運転はなく、West Dalarna Line でデモが行われたとWikiには書かれています。

CBTCに長く携わっていて一番多く質問されるのが、CBTCとはなに? ATACSはCBTCなの? ETCSレベル3は? です。

私はいつもCBTCはIEEE1474に定義されているものがCBTCである。CBTCと名乗るであれば、少なくとも、 IEEE1474 のパート1の要求を満足しているものではないでしょうか、と言っています。また、IEEE1474では要求はありませんが、世界のCBTCを見るとそのすべてがISMバンドの2.4GHzか5.6GHzの無線を使用しているので、これらの周波数以外の無線を使った列車制御システムはCBTCではないと思っています。また、ETCSは明確に使用が決まっているので、ETCSレベル3は明らかにCBTCではありません。ATACSについては私はCBTCではないとは思いますが、機能という面から言うとCBTCと同じだと思います。また、CBTCはパッケージで販売される。つまり、運行管理装置や連動装置など列車制御全体がCBTCだという人もいますが、これには私は疑問に思っています。確かに、IEEE1474では運行管理装置や連動装置の機能要求はありますが、運行管理装置はオプションでもよいとなっています。誤解の原因として、実際に収めているメーカーは信号を一括して収めていること、CBTCの案件は殆どがグリーンフィールドであること、RAMS認証の範囲をCBTCとしてGAを取得していることが多いことから、CBTCはパッケージ販売でないとCBTCと言わないという人がいるのではないかと思っています。

海外の鉄道信号の入札要件にはCBTCと書かれていることはまれで、殆どが移動閉塞、地上ー車上間通信を大容量通信、列車検知は地上ではなく車上で行う事と書かれています。ただ、そのほかの要求を見ていくと結局はIEEE1474に準拠したものでないと顧客要件には満足できません。満足させようとするとCBTCになってしまうとも言えます。