RAMS[21] 電車内でのテロ行為

2021年10月31日午後8時ごろ、東京都調布市の京王線国領駅付近を走行中の電車で乗客から「車内で油のような液体をまいて男が火を付け、刃物で人を刺す」という事件がありました。電車内での犯罪や、テロ行為は海外だけではなく日本でも最近増えてきたような気がします。銃を所持することが難しい日本では乱射ということはありませんが、サリン事件のようなこともあり、鉄道システムとして無視することができなくなっていると思います。本来、鉄道信号システムのSafetyをSCOPEとして作られたRAMS規格ですが、鉄道全体として考えることを否定しているものではなく、RAMS規格に基づいて鉄道システムの安全性を構築することが可能です。実際の案件で思うのは、RAMSは信号のSCOPEであるということにもかかわらず、鉄道システム全体のリスク分析も信号担当会社が行うような風潮になっていることです。ターンキーであればそれもわかる気がしますが、単なる信号サブシステムを納めるような契約の場合、鉄道システム全体のリスク分析は元受けの企業が行うべきだと思いますが、どうもそうなっていない気がしてます。過去のブログにも書きましたが、事業者やインテグレーターが自らリスク分析を行った案件は皆無でした。これは彼らが責任を全うしていないのだろうと私は考えています。これはシステム要求書を作成するコンサルにも原因があるかもしれません。

今回の事件をシステムではどのように考えるかは、事業者の運営方針にかかわることなので、それぞれ事業者ごとに異なると思います。この事件のあと、国土交通省が鉄道事業者を集めたとの報道がありました。国として指針または法律を整備するのも良いこととは思いますが、大きな事業者から小さな第三セクターまであるので同じ対応は難しいと思います。無人運転と有人運転では対応も異なるでしょう。最近は、無人運転の議論が活発ですが、この事件で少し実現が遅くなるかもしれません。